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森田早紀「日本画で描く抽象画の世界」

森田早紀「日本画で描く抽象画の世界」
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小島―
アールワイズカフェバーの担当の小島です。
本日は、日本画家の「森田早紀」さんの独占インタビューを行っていきます。
森田さん、本日はよろしくお願いします。

森田―
よろしくお願いします。

アーティストかクリエイターかの選択

小島―
森田さんは日本画で主に抽象画を描かれているとのことですが、日本画をはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?

森田―
大学に進学する時に、もともとアニメ業界に興味がありまして、水彩などを扱った入試に向けての勉強などを行っていました。

そこから武蔵野美術大学という東京にある大学の通信教育課程の日本画の方に入って勉強をしていたのですが、そこで日本画という純粋に絵画に興味を持ちまして、自分の創作活動をメインに活動していこうとシフトしていきました。

卒業後は日本画の作品を作りながら、北海道の「道展」という公募展や「北の日本画展」というグループ展に参加したり、個展を行ったりと仕事をしながらアーティストとしての活動を行っています。

小島―
最初は水彩画をやっていてそこから日本画をはじめたのですね。
日本画をはじめてからはどのくらい経つのですか?

森田―
日本画を始めたのが丁度大学に入った年からなので、10年くらいでしょうか。

最初はアニメ会社の背景などを描きたかったんですね。
その時にアニメの背景を描く仕事をするにはどういう勉強をしたらよいのか調べていて、美術大学に通ったら、より専門的に勉強できるかもしれないと思いました。

また将来的にみんなをまとめたり、より高いレベルで活躍したいなら大学へいった方がよいという話もあり、そこで日本画を選びました。

油絵という選択肢もあったのですが、当時は油絵に馴染みがなく、うまく入っていけなかったんです。それとは違い水彩の方が性に合ったようで、そのまま水彩の勉強をして、水彩のさらに発展として日本画にどんどん入っていった感じです。

どちらかというとアーティストというよりもクリエイターになりたいと思っていたのですが、クリエイターになるための勉強を進めて行くうちに学問としての絵だったり、日本画はとても複雑だったりするので、画材のことやテーマ性など、自己研究をしていくうちに、どんどんハマっていってしまった感じです。

それにクリエイターは一般的に会社員なので、指示されて望むものを作っていかないといけませんが、それに縛られるよりかは自分で自由にやっていきたいと思ったのもあります。

小島―
ひとつのことを突き詰めていきたいといった感じでしょうか?

森田―
基本的には、今やっていることを徐々に研究していって、より良い形にしていけたらなという感じですね。

もともと大学に入ったころは、クリエイターとして就職したかったので、リアルなこの部屋をアニメの背景のようにバッチリと描く、植物なら植物をカッチリ描くみたいなことをしていたんですね。

ですが、アーティストになるかクリエイターになるかの岐路のようなものが、美術系の学校だと3年生くらいにくると思います。
その時に悩みぬいた末にアーティストの方へ行こう、自分の絵として描いていこうとなった時に画風も抽象的な表現に変えていったんです。

そこから北海道で日本画でこういった抽象画を描いている人がほとんどいなかったので、そういう抽象画で勝負していきたいと思い、この6、7年は抽象画を描いています。

小島―
なるほど、ちなみにアニメの背景ですか、影響を受けたのはジブリとかですか?

森田―
そうですね、ジブリとか、あとは当時はポケモンが流行っている時期でもありファンタジーという異世界にも興味がありました。

小島―
最近のアニメなどはすごく綺麗な作品がが多いですよね。

森田―
そうですね、制作会社によって特色とかもあったりして、とても面白いですね。

小島―
現在もアニメ会社などに興味はあります?

森田―
いまは視聴者側として見ていたりしますが、やりたい、関わりたいという感じではなくなってしまっていますね。
それでも機会があったらすごく楽しいと思います(笑)

子どもの頃から遊びとして絵を描く

小島―
小さい頃からそういうのに興味があって、絵など描かれていた感じなんですね?

森田―
実は学生時代は美術部ではなく運動部に所属していました。
朝練など活発に運動していましたね(笑)

小島―
美術部はあったんですよね?

森田―
はい、美術部はありました(笑)
ただ漫画やアニメが好きな子が集まる部活で入りにくかったというのもあり、当時は運動部に入っていました。

それでも、母や母の兄がとても絵が好きで、日常的に絵を描く人だったので、家で自分の遊びとして絵を描いていたので、水彩のように水溶性の画像に馴染みがあったので日本画はすんなりと馴染めたのだと思います。

小島―
日本画は油絵と比較すると水彩に近いイメージですか?

森田―
どちらかというとそうですね。
油絵って絵具を油と混ぜて絵具を使って描いていくのですが、日本画は水彩と一緒で絵具に水を入れて、水の力で描いていく絵になると思います。

抽象画のきっかけ~絵を描くことは自由なんだな

小島―
森田さんのこれまでの作品の中で思い出の作品は何でしょうか。

森田―
大学を卒業する年に卒業制作として日本画で大きな抽象画を描いた作品になります。
この作品は、初めての抽象画を卒業制作で描いてしまったという周りも驚かれた作品で、卒展の「優秀賞」にも選ばれた作品になるため、自分の中でも一つの自信や思い切りにもなった作品です。

卒展 優秀賞「ただようかたち」F100号

小島―
卒業制作で初めての抽象画で「優秀賞」とは驚きですね(笑)
こちらの作品はどのくらいのサイズだったのですか?

森田―
卒業制作の作品は2点あり、S100号とF100号の作品がありました。
そのうち優秀賞に選ばれたのがF100号の作品です。

現在の作品よりも霞っぽく淡い感じの絵でした。

小島―
すごく深い絵ですね・・・
失礼ですが、これは何を描いた作品になるのですか?

森田―
わからないですよね・・・これ実は「幽霊」なんです(笑)

小島―
幽霊・・本当に(驚?!)

森田―
はい、この当時の私本当に幽霊を描いていたのですよ。
これ3体くらいいて、沢山の魂みたいな(笑)

小島―
幽霊が見えていたのですか?

森田―
この卒業制作に本当に抽象画をやっていくのか、安牌で落ち着いたものを描いていくのかで、すごく悩んでいたり、将来の不安などもあって色々悩んでいた時期でした。

その時に何かあったのでしょうね、浮遊物が見えるって言っていた時期がありました(笑)

そういったものをスケッチブックに描いていた時に、先生に「何描いているの?」と聞かれて、「あそこにあるモヤモヤしたものを描いています」っていったら、「面白いじゃん!それ卒業制作にしちゃいなよ」って言われて、そのまま卒業制作の作品にしちゃったんです。

そこからは絵を描くことは自由なんだって思うようになりました。

たとえば、そこにそう見えていなくても、花が白であるのに黒で描いてもいいし、より肯定的になれたような気がしました。

なので、卒業制作で初めての抽象画で優秀賞をいただいたことや、その時に「これで行きなよ」といってくれた先生には感謝しています。

小島―
今までと違う、思い切ったことをするってすごく勇気がいることだと思いますが、この時に背中を押してくれた先生のおかげで、今の素晴らしい作品が誕生していると思うとすごく良いお話ですね。

今後の目標や活動について

小島―
最後になりますが、今後の目標などあればお伺いさせてください。

森田―
秋にまた道展があるのでそれに向けて制作を頑張っています。
去年は「新人賞」をいただいているので、今年も頑張りたいと思います。

小島―
海外での展示会など、どうでしょうか?

森田―
そうですね、海外は行ってみたいですね。

小島―
海外だとどこに行きたいですか?

森田―
美術的な観点じゃないのですが、ドイツに行ってみたいです。

ドイツに知り合いの友達がいるのですが、友達が日常的にドイツってこういう場所があるよって送って来てくれて、それがとても綺麗なんです。

市役所など普通に使われている建物が歴史的建造物であったり、日本の京都の外国版みたいなイメージで、ドイツに限らずヨーロッパには行ってみたいですかね。

フランスやパリ、それこそあちらにはストリートで活動している画家も沢山いますし、ドイツのミュンヘンは札幌と姉妹都市で日本人も大勢いるみたいなんですよね。

小島―
ミュンヘンって姉妹としだったのですね。
よくミュンヘン展とか聞きますが、そういう関係だったんですね。

森田―
そうそう、日本人が多く住んでいる街とかもあって、「何かあればみんな助けてくれるよー」とか言っていました(笑)

あとは、アーティストを目指して、向こうに行っている方もいるみたいですね。

昔、グループ展でサハリンに行ったことがあるんですが、その時は日本画について「これはどうなんですか?」など現地の方がすごく興味を持ってくれていたんです。

なので、日本の文化として売り込みやすいですし、アピールしやすいと思うので今後そういった活動も行っていけたら良いなと思っています。

小島―
なるほど、秋の道展、今後の活動を応援しております!
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

Profile森田 早紀

森田 早紀

1995
青森県上北郡野辺地町生まれ
2017
武蔵野美術大学造形学部通信教育課程 日本画学科卒業
2022
現在 札幌武蔵野美術学院にて非常勤講師として勤務

作品紹介・販売ページ

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