お酒の代表と言えばビールを思い浮かべる人って多いですよね。
最近では若者のお酒離れも進んでいますが、そんな中でも売り上げを伸ばしているのが「クラフトビール」なんです。
クラフトビールと聞くと、地域の特性を活かして作られた多様な味わいのビールをイメージするのではないでしょうか。
この記事では、そんなクラフトビールについて詳しくご紹介していきます。
歴史や製造工程、一般的なビールとの違いやテイスティング方法なども説明していますので、最後まで読めばクラフトビールのさらなる魅力に気づけるはずです。
それでは早速、見ていきましょう。
クラフトビールの定義
クラフトビールはアメリカ生まれのお酒です。
国や界隈によってクラフトビールの定義が若干違う場合もあるのですが、アメリカの業界団体の“Brewers Association(ブルワーズアソシエーション)”では以下3つの定義が設けられています。
・醸造所が小規模であること
・独立経営であること
・醸造免許を取得していること
それでは一つずつ深堀っていきましょう。
定義①:醸造所が小規模であること
アメリカでは、ビールの醸造所の生産規模が年間で600万バレル以下という規定があります。
小規模製造なので、各工程において細かい調整が可能。
品質の管理が行き届く利点もあります。
定義②:独立経営であること
2つ目の定義は、大手ビール会社からの資本支配が25%未満であることです。
家族経営も多いため、ビールの製造や販売において創業者の理念が反映されやすい特色があります。
定義③:製造免許を取得していること
3つ目の定義は、製造免許を取得していること。
1994年に酒税法が改正され、ビールの製造免許取得に必要な最低製造量は年間60キロリットルになりました。
改定前は年間2,000キロリットルで、小規模の醸造所では厳しかったのですが、大幅に引き下げられたことによりクラフトビールを製造する醸造所は一気に増えたそうです。
一般的なビールとの違いは?
大手メーカーのビールと違って、クラフトビールには次のような特徴があります。
個性的な味わい
大手メーカーでは、味の一貫性を保つために均一になるよう工夫して造られています。
その点、クラフトビールは各醸造所の個性が出やすくバリエーションが豊富なんです。
原材料の違い
大手メーカーであれば、コスト削減や大量生産によって、ライスやコーンを使用することが大半。
一方でクラフトビールの場合は、麦芽やホップにこだわり、独自のフレーバーを追求していることが多いのだそう。
消費者との関係性
クラフトビールを作るメーカーは、消費者との繋がりを特に大切にしています。
地元イベントへ参加したり、限定ビールの提供など、消費者と近い距離で交流を図っているのもクラフトビールならでは。
だからこそ、文化やライフスタイルの一環として多くのファンに支持されているのですね。
製造方法と販売価格
一般的なビールは、大規模な醸造所でほぼ自動化された方法で製造されています。
それによって大量生産が可能になり、比較的低価格で販売することができるのです
一方でクラフトビールの場合は、独立した小規模な製造所で造られているため、大量生産は出来ません。
そのため比較的高価格にはなりますが、品質だけじゃなくパッケージやラベルにもこだわった商品を提供しています。
クラフトビールと地ビールの違いとは?
クラフトビールとよく混同してしまうのが「地ビール」です。
地ビールは、小規模な醸造所で造られる独自のビールのことで、意味合いはクラフトビールとほぼ同じ。
似ているのに名称が違う理由はなんなのでしょうか?
そこには、次に紹介する日本のクラフトビールの歴史が大きく関係しているのです。
クラフトビールの歴史
先ほどクラフトビールの定義でも少し触れましたが、クラフトビールはアメリカで誕生したお酒です。
アメリカには、古くから各地域ごとに小規模な醸造所が存在していました。
しかし、1920年に試行された禁酒法によってお酒の販売が禁止され、多くの醸造所は廃業に。
1933年になると禁酒法は廃止されたのですが、十数年間は大手のビールメーカーが市場を独占していたのだそう。
1970年代になると、大量生産されたビールではなく個性のある味を求める声が大きくなりました。
そこで、禁酒法以前の味わいを再現する小規模醸造所が誕生したのです。
小規模醸造所で造られたビールは多くの支持を得て、1970年代後半には自家醸造が合法化されました。
それにより、自前で醸造するマイクロブルワリーが急激に増えたそうです。
そしてクラフトビールはアメリカのみならず世界中で大人気のお酒となりました。
5年後には今の倍近くの消費量になるのでは?と予想されるほど、注目されているビールなんです。
クラフトビールの日本での歴史
日本のクラフトビールの始まりは、1994年の酒税法改正がきっかけでした。
それまでの法では、年間最低でも2,000キロリットルのビールを製造しなければなりませんでした。
しかし、改正後は年間60キロリットルと大幅に引き下がったのです。
これにより大手ビールメーカーのような設備や資本力がなくても、手軽にビールの製造ができるようになったというわけです。
その後は全国各地に小規模な醸造所が次々とオープンし、「地ビール」と呼ばれる少量生産のビールが造られるようになりました。
地名や地域の名産などを押し出したキャッチーなデザインは、お土産用ビールとして人気に!
市場は拡大し、一時は醸造所の数が300を超えるほどのブームにもなりましたが、1999年頃をピークに人気は衰退。
ブームにあやかり、実力の伴わない醸造家が参入したことによって、“品質と価格が見合っていない”といったマイナスのイメージが定着してしまったようです。
その後2012年頃にはアメリカでクラフトビールが大ブームに。
その影響を受けて日本でも再び小規模な醸造所が増え始めました。
すると、クラフトビールと似た特徴を持つ地ビールが再び注目されるようになったのです。
しかし、地ビールに対して当時の悪いイメージは根強く、その印象を与えないために“地ビール”ではなく“クラフトビール”として売り出したのだそう。
その流れは次々に広まり、今や日本中に浸透している人気ビールになったのです。
クラフトビールの製造方法
画像出典:CRAFT BEER LAB
クラフトビールは造り手の想いがたくさん詰まったお酒です。
それ故に、製造方法は醸造所によってさまざま。
ここでは、製造方法のひとつの例をご紹介していきます。
工程の内容は以下の通り。
①製麦
↓
②仕込
↓
③発酵
↓
④熟成
↓
⑤パッケージング
それでは順番にひとつずつ説明していきましょう。
①【製麦】大麦の発芽と乾燥
ビール造りの工程は、大麦を麦芽にすることから始まります。
まず大麦を約15度の水に2日間漬けた後、発芽床で発芽させます。
その後温風を当てて乾燥させ、芽の成長を止めたものが麦芽です。
乾燥させる際に、低温で焙燥すると淡色麦芽になり、高温で焙燥(または焙煎)すると濃色麦芽になります。
②【仕込】粉砕と糖化
続いて、粉砕機に入れて麦芽を砕きます。
渋みやエグみの溶け出しを防ぐために外皮は粗く砕き、内部は細かく粉砕することで、デンプンの糖への分解率が上がるのです。
砕いた麦芽は、65度前後の湯と混ぜると粥状になります。
活性化した酵素の働きによって、デンプンは糖に分解され、タンパク質はアミノ酸に分解されます。
その後、ろ過して固形物を取り除いて麦汁にします。
麦汁を煮沸して殺菌したら、ホップを何段階かに分けて投入。
ホップには、苦みをつける以外にも香りを逃さない役目もあるのです。
③【発酵】冷却と酵母
煮沸後は、酵母が働きやすい温度になるよう冷却します。
このときの温度によって味が2種類に分かれ、15~25度だと「上面発酵(エール)」、10度前後だと「下面発酵(ラガー)」になるのです。
続いて酵母の投入です。
酵母によって麦汁中の糖がアルコールと炭酸ガスに分解されます。
こうして発酵が進んでいくのですね。
麦汁の糖の濃度が高いほどアルコール濃度も高まり、度数の高いビールが出来上がります。
④【熟成】味の調整
発酵が終わるとビールは完成しますが、味わいはまだまだ未熟。
この、味が粗い“若ビール”を低温で熟成させることで、徐々に風味が整っていくのです。
他にも、澄んだ色や爽快な喉ごし、フルーティーな香りなども、この熟成工程によって得られます。
より良いビールにするために、熟成させることは大切な工程なのです。
⑤【パッケージング】最後の選択と商品化
熟成後は、酵母を取り除き品質保持するか、熱処理で酵母の活動を停止するのが一般的です。
しかし、そのまま酵母が生きている状態で出荷するクラフトビールも多くあるのだそう。
その最後の選択によって、最終的な味が決まるのですね。
こうして出来上がったビールは、瓶や缶に詰められ商品となり出荷されるのです。
クラフトビールの種類
クラフトビールの種類は、大きく分けて「ラガー」と「エール」の2種類あります。
発酵方法や熟成時間によってビールの味や香りが変わります。
ラガービールの特徴
ラガービールはスッキリとした味わいでキレがあります。
6~15度の低温で、ゆっくりと7~10日かけて発酵させます。
熟成期間は約1か月ほどかかります。
雑菌が繁殖しにくく、品質を保ちやすいため、大手のビールメーカーで採用されている製造方法なのだそう。
エールビールの特徴
エールビールは味わい深く、ビール本来の強い香りを楽しめる特徴があります。
ラガービールと違って発酵させる環境は20度程度で3~5日ほど、熟成期間は約2週間です。
比較的高温な環境で発酵させるので菌が繁殖しやすく、大量生産が厳しい製造方法なのです。
クラフトビールのテイスティング方法
ビールといえば、よく冷えた状態でグイっと飲み、喉ごしを楽しむ人も多いでしょう。
ここでは、ビールをもっと堪能するためのテイスティングの方法を4つのポイントに分けてご紹介していきます。
外観(色・泡)
すぐに飲みたい気持ちをぐっと押さえて、まずはビールの色合いを見てみましょう。
麦色なのか、琥珀色なのか、はたまた黒っぽい色をしているのか…
その色から、どんな味か想像することがテイスティングの始まりなのです。
他にも、透明度や泡の粒の大きさなど細かな点を観察することで、ビールの個性と特徴を知ることができるでしょう。
香り(アロマ)
次に、テイスティングに欠かせない香りについて。
ビールの匂いの確認は、普段から行っている人も多いかもしれませんね。
丁寧に繰り返すことで「ビールの匂い」は、様々な香りの集合体だと気づくはずです。
ビールの原料である麦芽は、大麦を発芽させたもの。
同じ穀物が原料となっているパンやクラッカーなどの香りを感じることもあるでしょう。
また、製造過程で焙煎しているため「焦げ」に由来するコーヒーやチョコレートの香りがすることもしばしば。
他にも、酵母やホップによってフルーティーさを感じたり、ヒノキやハーブのような自然の香りも感じられるでしょう。
クラフトビールには副原料が使われていることもあります。
オレンジピールやコリアンダーなどを用いた場合、柑橘やハーブのアロマも感じられるはず。
ひとことで香りといっても、その背景には原材料だけでなく製造工程も反映されているため、説明するには複雑で奥が深いのです。
口に含む前に情報を得て、味の想像をしながら飲むことでさらに楽しめそうですよね。
味わい(フレーバー)
ビールを飲んだ特に感じる味わいを、「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」に当てはめて表現してみましょう。
麦芽に含まれる糖は甘く感じ、焙煎によって苦味や酸味も感じられるはず。
同じ苦味でも、ホップの苦味や柑橘系の苦味はどうなのか、どこが違うのか、など違いを舌で感じることがテイスティングにおいてとても大切なのです。
喉ごし(感覚)
ビールの美味しさを聞かれたときに、喉ごしと答える人も多いでしょう。
それはつまり、ビールが喉を流れる際の感覚と、流れきった時の爽快感が重要なのではないでしょうか。
ビールの品質だけでなく、温度や飲むスピードにも影響されますが、どのように流れるのか感じながら飲むことで、新たな気づきを得られるでしょう。
まとめ
この記事では、クラフトビールの魅力についてご紹介しました。
小さな醸造所で職人によって造られているクラフトビール。
こだわりが詰まっているので、造り手の思いが感じられることでしょう。
今まで無意識にビールを飲んでいた人も、テイスティングを意識することによって、知らなかったビールの魅力を発見できるかもしれませんね。
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