皆さんは、紅茶といったらどんな種類をイメージしますか?
ダージリン・アッサム・アールグレイなど、人によって思い浮かべるものは違うのではないでしょうか。
それもそのはず。今や世界中で数多くの紅茶が生産されているのですから。
同じ種類でも、そのままストレートで飲む人や、ミルクや砂糖を入れて飲む人など、飲み方の好みもさまざまですよね。
一言で紅茶と言っても、非常に種類が豊富ということは有名なハナシ。
では、世界を代表する紅茶が3つあることをご存知ですか?
この記事では、「世界三大銘茶」と呼ばれている紅茶についてご紹介していきます。
世界を代表する茶葉に選ばれた理由や、飲み方のオススメまでたっぷり解説していますので、紅茶が好きな人はもちろん、これから紅茶に詳しくなりたいと思っている人もぜひ最後まで御覧くださいね。
それでは、早速ご紹介していきましょう。
世界三大銘茶ってなに?
まず、世界三大銘茶について説明していきます。
初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか?
世界三大銘茶とは、日本で高級紅茶と呼ばれている3つの紅茶を指している言葉なんです。
紅茶には数多くの種類がありますが、その中でも
・インドのダージリンティー
・スリランカのウバティー
・中国のキームンティー
これらを世界三大銘茶と呼んでいます。
茶葉の産地はそれぞれ違いますが、どこも共通して標高の高い土地で独自の製法によって作られているのだそう。
その味や香りは国際品評会などで認められているのだとか。
世界三大銘茶の歴史
ダージリン・ウバ・キームンはなぜ世界三大銘茶として選ばれたのでしょうか?
実はその起源ははっきりと解明していないのですが、どうやら100年以上前の表彰式が関係しているのだそう。
1915年に行われたサンフランシスコ万国博覧会で金賞を受賞したことから、世界を代表とする銘茶として名が知れ渡ったようです。
しかし、実はこの呼び方をしているのは日本だけ。
現在では、かつてそう呼ばれていたことがある、という認識程度になっているのだそう。
100年という時間の経過とともに紅茶の種類が増えたため、自然とその呼び方をしなくなっていったのかもしれませんね。
ダージリンティーは紅茶界のエリート!?
強いクセがなく、品のある風味が特徴のダージリンティー。
カフェやスーパーで見かけることも多く、日本ではポピュラーな紅茶として親しまれています。
紅茶の名に使われている「ダージリン」とは、インドの北東部のヒマラヤ山脈の麓に位置する土地の名前で、高級茶葉の産地としても有名なんです。
世界的に人気のあるダージリンティーですが、世界最大の茶葉生産率を誇るインドでも、“ダージリン産”は1%しかない貴重な存在なのだそう。
その希少価値と高品質で、世界中から評価されているのだとか。
ダージリンティーは、紅茶界のエリートとも呼ばれ、「紅茶の王様」「紅茶のシャンパン」と表現されることもあるそうです。
ダージリンの種類とおすすめの飲み方
ダージリンは年に3回、春・夏・秋に旬を迎えます。
収穫した時期によって味がまったく異なるため、それぞれ、ファーストフラッシュ・セカンドフラッシュ・オータムナルと呼び分けられているんです。
同じ茶葉ですが、収穫時期が違うとどのような変化があるのでしょうか。
それぞれの特徴を紹介します。
ファーストフラッシュ
ファーストフラッシュは春摘みの紅茶のことを指します。
その年の初めに摘まれるのでファーストフラッシュと呼ばれているのだそう。
いわば、ダージリンの新茶ですね。
ファーストフラッシュ特有の爽やかでみずみずしい味わいをより感じるために、ストレートティーや水出しアイスティーで飲むのがおすすめです。
セカンドフラッシュ
3つの中で最も高い評価を得ているのが、夏積みのセカンドフラッシュです。
ダージリンの香りとして評価されている「マスカテルフレーバー」を強く感じられ、紅茶の女王ともよばれているのだそう。
熟した果実のような香りとコクのある味わいが特徴で、ミルクティーにもよく合います。
オータムナル
秋摘みの茶葉はオータムナルと呼ばれ、最も甘みを感じやすく、まろやかで深い味わいが特徴的です。
ダージリンが好きな愛飲家の方はもちろん、紅茶初心者の方も飲みやすいと感じるでしょう。
凝縮された甘みを感じながらホットティーで飲むのがおすすめです。
ダージリンの美味しさの秘密
ダージリンティーの上質な風味を作り出すためには、何が重要か知っていますか?
実は、美味しいダージリンティーには、“ウンカ”という虫の働きが関係しているんです。
ダージリンの茶葉は、ウンカに吸われると“ファイトアレキシン”という抗体を作り出します。
この抗体を持った茶葉を加工して作ることで、ダージリン特有のフルーティーで爽やかな香りが誕生するんです。
ウンカは、どの茶葉にでも現れる訳ではなく、畑の一部でしか発見されないのだそう。
そのため、ファイトアレキシンを含んだ茶葉は価値が上がり、特別な茶葉として扱われているんです。
「東方美人」という台湾茶も、ダージリンティーと同じくウンカの働きによって風味が豊かになっているそうですよ。
スリランカを代表する紅茶 ウバティー
画像出典:TEA MAGAZINE
ウバティーは、スリランカのウバ地方で生産されている紅茶で、ミントのような爽快感と花のような甘い香りを併せ持っています。
メントール系の香りと渋みは、他のセイロンティーでは感じられない唯一無二の特徴です。
寒暖差の激しいウバ地方は、日中の高温と夜間の冷気によって霧が発生しやすい地域です。
この霧によって、ウバティーの特徴のひとつでもある、薔薇や蘭のような甘い花の香りが生み出されているのだそう。
スリランカは今でこそ紅茶で有名ですが、19世紀中頃までは紅茶よりもコーヒーの栽培が盛んな国でした。
しかし1860年代になるとサビ病が流行り、残念ながらコーヒーの栽培は厳しい状況に追いやられてしまったのです。
その後、代わりとなる産業として栄えたのが、他でもない紅茶の栽培だったのだそう。
スリランカで初めて茶栽培をおこなったのは、スコットランド人のジェームス・テイラーでした。
彼は、スリランカの紅茶産業に大きく貢献した人物として「セイロンティーの父」と呼ばれるようになったそうです。
ウバティーとセイロンティーの違い
さて、ここまで読んでウバティーとセイロンティーは何が違うのか疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
実は、ウバティーはセイロンティーなんです。
「えっ?じゃあ同じもの?」と認識してしまうかもしれませんが、それも違います。
「セイロン」とは、スリランカの旧国名のこと。
つまりセイロンティーとはスリランカで生産されている紅茶全体を指す言葉なんですね。
ウバティーは、数あるセイロンティーの中の一種ということなんです。
全国的に有名な「リプトン」の創始者が、初めて手掛けた紅茶もウバなのだとか。
スリランカの紅茶の歴史は、ウバから始まったとも言われているそうですよ。
セイロンティーの呼び分け方
セイロンティーは生産地の標高によって区別されていて、それぞれ「ハイグロウン」「ミディアムグロウン」「ローグロウン」と呼び分けられています。
海抜1800m以上のウバ地域で作られているウバティーは、ハイグロウンに分類されています。
それぞれ、標高別の有名な産地は次の通りです。
ハイグロウン
標高1300メートル以上の高地で生産された茶葉
【有名な産地】
・ウバ
・ヌワラエリヤ
・ディンブラ
ミディアムグロウン
標高670メートル~1300メートルの土地で生産された茶葉
【有名な産地】
・キャンディ
ローグロウン
標高670メートル以下の土地で生産された茶葉
【有名な産地】
・ルフナ
・サバラガムワ
ウバティーの楽しみ方
ウバティーのスーッとするメントールの香りは、朝起きぬけの一杯にピッタリです。
イギリスでは早朝にベッドの中で紅茶を飲む習慣があり、それを「アーリーモーニングティー」というのですが、これにはウバティーが好まれたそうです。
また、仕事の合間や休憩時間など、気分をリフレッシュしたい時にもウバティーは重宝されるでしょう。
爽快感と渋みをダイレクトに感じるためにストレートティーで味わうのがおすすめですが、ウバ特有のミント感が苦手な人はミルクを加えてまろやかにすると甘みを感じやすくなりますよ。
ウバティーにはタンニンが含まれているため、透明感が出にくい傾向があります。
透明のアイスティーを作りたいときには、ホットティーを冷やすのではなく、水出しで作るといいでしょう。
まるで中国茶のワイン?キームン紅茶
画像出典:My Best TEA
キームンは中国の安徽省(あんきしょう)祁門縣(きもんけん)で生産されている紅茶です。
その土地の名称から「キーモン」や「キーマン」とも呼ばれています。
生産時期は6〜9月と短く、少量しか収穫できません。
また、8月に摘まれる茶葉は高品質であることから、かなりの高値で取引きされることもあるそう。
高級なキームンは、薔薇やリンゴのような甘い香りがするのが特徴で、苦味は少なく、甘くてコク深い味わいです。
低級の茶葉は香りが弱いため、松の木を燻製したスモーキーな香りを付けて販売されているのだそう。
赤みがかった褐色の色とコクのある味わいから、中国茶のブルゴーニュ酒(ワイン)と例えられることもあるのだとか。
キームン紅茶の歴史
画像出典:スイーツモール
うまみ成分の高い、良質な茶葉にするためには育成環境が大きく関わっています。
山岳地帯で木々に囲まれた茶園では雨や霧が発生しやすく低温で多湿な環境です。
太陽の光が当たらない中で茶葉が旨味成分を蓄えようとするため、香り高く芳醇な味になるのです。
その昔、イギリスのヴィクトリア女王やエリザベス女王、アメリカのルーズベルト大統領もキームンを気に入っていたのだそう。
また、イギリスの王室では女王の誕生日にキームンの紅茶でお祝いをする習慣もあるのだとか。
昔は非常に貴重な紅茶だったことから、縁起物としても利用されていました。
ダージリンやウバに比べて、知名度は低めですが、世界三大銘茶と呼ばれるだけの理由があるのです。
キームン紅茶のランク付け
キームンは中国の伝統製法で時間をかけて作られています。
品質別に細かく8つの等級に分けられていて、上から順に「特貢・貢茶・礼茶・特茗・特級・一級・二級・三級」とよばれています。
格付けの基準は、茶葉の形や大きさです。
ランクが上位になるほど、茶葉が小さく均等なサイズになるのだそう。
最上級の特貢は非常に希少で大変高価な代物で、国賓への献上用などに用いられています。
今現在、日本で流通しているキームンのランクは特茗以下がほとんどなのだとか。
キームンの持つ独特なスモーキーな香りは、ちょっとしたリラックスタイムにピッタリ。
甘みを感じる紅茶なので、苦味や渋さが苦手な人におすすめです。
ストレートティーでもスッキリとした味わいを楽しめますが、ミルクや砂糖を入れることでお子様や、甘党の人にも好まれます。
キームンは、幅広い層に好まれる紅茶なんです。
紅茶を知りたいのなら
紅茶に詳しくなりたいと思っても、今や紅茶の種類は数え切れないほど存在します。
ダージリン・ウバ・キームンを「世界三大銘茶」と呼ぶのは日本だけと述べましたが、世界の紅茶に詳しくなりたいのであれが、まずはこの3種を知ることはとても大切です。
ダージリンは日本でも有名ですが、他の2種類はあまり一般的ではありませんよね。
一度味わってみることで、世界三大銘茶と呼ばれる所以がわかるはず。
紅茶についてもっと知りたいと思ったのであれば、まずはこれらを飲むことから始めてみても良さそうですね。
まとめ
世界三大銘茶の「ダージリン」「ウバ」「キームン」は、紅茶が好きな人はもちろん、これから紅茶を知っていきたいと思っている人にもオススメの紅茶です。
他の種類と味比べをしたいときや、美味しい紅茶を飲みたいときにもピッタリです。
この記事を読んだことで、3種類それぞれの特徴を知れたのではないかと思います。
それを知った上で飲めば、それぞれの紅茶が持つ本来の良さに気づけることでしょう。
今から100年以上前に決められたという、歴史のある世界三大銘茶を、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
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