これまで現代アートは美術館や高級ホテル、公共施設の巨大彫刻、オークションでの落札など、アヴァンギャルド（前衛）かつ難しいものとして、作り手も鑑賞する側も一握りの限られた富裕層のためのものであった。
しかし、近年は敷居が下がり、誰にでも楽しむことのできる皆のものとして多様化されていく傾向が世界的にますます強まっている。
そして、ギャラリーや画廊、オークションでのみしか購入することのできなかったアート作品もインターネットの普及によって世界中から売買が可能となった。
現在はギャラリーがなくても自由にオンライン上で販売することも可能である。そのため、購入したい方にとっても比較的買いやすくなり、衣服を１枚買ったり、部屋のインテリアを購入するようなお手軽な感覚でアートの売買が楽しめる進化は作家にとっても購入者にとっても喜ばしいところだ。
本記事では、若手作家の作品を含め、絵画から写真まで、現代アートを購入できるサイトを紹介していく。
１．OIL by 美術手帖
美術出版社が1948年に創刊した『美術手帖』による、日本を代表するギャラリーやアーティストと連携した代表的な現代アートのマーケットプレイスのひとつ。
運営はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社。
オリジナルアート作品やバラエティ豊かなアートグッズを購入できる。
本記事執筆時点では、1,650円からアート作品を購入可能で、価格が提示されている中での最高額は 2,062,500円。
２．This is Gallery（ディスイズギャラリー）
登録には審査が必要だが、作家がサイトに登録し、4つのステップでアート作品を販売でき、購入もワンクリックで可能な手軽さが特長。
運営はthisis株式会社。
関連サービスにオーダーメイドで絵画・アートの制作を依頼できる「This is Original」があり、完全なオリジナル作品を企業や店舗の集客やブランディングに活用することも可能だ。
３．WASABI（ワサビ）
アート作品を生活に取り入れて身近にしたい、という運営者の想いがひしひしと伝わってくる通販サイト。
運営会社は株式会社NOMAL NOMAL. Inc。
アート・絵画のオーダーメイドサービスの他、訪問型インテリアカウンセリングの利用で部屋に合うアート作品をプレゼントという日本初のサービスも。
本記事執筆時点では、660円からアート作品の購入が可能。最高額は、 2,750,000円。
４．TAGBOAT（タグボート）
「アートで食べていけるアーティストの数を増やすこと」がミッションで、日本最大級の現代アートを販売するECサイト。
株式会社タグボートが運営。
動画を含めた情報発信がとても丁寧であることからも、作家の世界観を伝え、共感させることに重きを置いた印象を受け、アート作品を価格で検索できるような仕組みにはなっていない。
また、現代アート作品を用いたオフィスコーディネートサービスや、「国内のコマーシャルギャラリーにて、正規の価格で購入された作品については、査定した上で、購入時の価格以上にて販売」というのが特徴的な委託販売サービスもあり。
５．TRiCERA（トライセラ）
126ヵ国以上のアーティストが参加している、現代アートの通販においてはアジア最大級のマーケットプレイス。
運営は株式会社TRiCERA。
本記事執筆時点の最安値は 2,000円、最高価格はなんと 222,222,100円（！）という作品も。
日本人以外にも世界各国の作家が出品しているので、様々な趣向のアート作品に触れることができる。
６．BiTTAR（ビッター）
「日常に彩りを与え、豊かにする素晴らしい現代アート作品との出会いを提供」を掲げ、2021年4月にオープンした比較的新しい現代アート通販サイト。
株式会社ビットライズが運営。
本記事執筆時点で販売されている最高額は、村上隆作『AND THEN Blue』の1,411,850円。最安は78,100円のフィギュア。
７．ART-Meter（アートメーター）
その名の通り、絵画のサイズと作家の販売実績に基づいて価格が決まる「測り売り」という珍しいスタイルで作品を販売している絵画の通販サイト。
運営は「This is Gallery（ディスイズギャラリー）」と同じthisis株式会社。
本記事執筆時点では、200円台（！）から30万円以上まで幅広い作品が並ぶ。
８．CREATE（クリエイト）
富士フイルムグループ運営のプロラボサービスによる写真アート販売サイト。
運営は富士フイルムイメージングシステムズ株式会社。
本記事執筆時点では数千円から数万円の価格で写真アート作品を購入できる。
販売されている作品の一例を挙げると、動物を撮影した写真は足を使いその場へ行き『瞬間』を見事に捉え、美しく切り取ったものが多い。そのクオリティに圧倒され、ぐいぐいと写真に引き込まれることだろう。
９．minne（ミンネ）
ハンドメイドの作品が中心の通販サイト。絵画のアート作品も販売されている。
GMOペパボ株式会社が運営。
本記事執筆時点では300円のCG作品から50万円の絵画作品も数多く出品されていて、多種多様な作品に溢れている。
10．creema（クリーマ）
前述のminne（ミンネ）同様、ハンドメイド・手作り系の作品を販売している通販サイト。
運営は株式会社クリーマ。
ペットの似顔絵などに激しい情熱や勢いはないものの、生活に密着したほんわかした家庭的な癒しの要素を感じさせる作品も見られる。
本記事執筆時点での最安は200円のカードから、あまり販売する気が無いと思われる9,999,999円の作品、500万円の絵画も並ぶ。
まとめ
現代アーティストの作品はオンラインで気軽に買える時代になり、様々な形態の現代アート作品を安く購入可能な時代となった。
特に海外の人が喉から手が出るほど欲しがる日本人作家の作品をいち早く日本で入手できることはありがたい。
余談だが、アート作品を最も安く入手する種明かしをお伝えしてしまうと、多くのギャラリーや画廊は作家に入る作品のうちのかなりのパーセンテージを徴収している。
どのようにしたら安く、お得にアート作品を購入できるか？ と言えば、作家本人から直接購入することがアーティストにとっても購入者側にとってもフェアな結果となるわけだが、そのためにもギャラリストやコレクターは長い時間をかけてアーティストを口説き落とせるだけの知性と手段を身につけておくと良いであろう。