ホーム コラム 現代アートの読み物 現代アート作家 現代アートで有名な日本人作家とは?
草間彌生作品が展示されているマカン美術館
草間彌生作品が展示されているジャカルタのマカン美術館

近年、日本の現代アートシーンが国内外で人気を見せてくる様になった。

中でも草間彌生(くさま やよい)のような女性作家の活躍は圧巻であり、現代美術の若手作家の中には古来から伝わる日本画を現代的な手法や解釈に落とし込み、引き継いでいる作家が沢山いる。

有名な日本人現代アート作家の中にはどのような作家がいるのか? 人気作家、若手作家、インスタレーション作家、現代日本画家を中心に男性作家、女性作家を交えた現代美術作家をご紹介します。

現代アートについて案外知らなかった日本人

日本のアートシーンは海外で爆発的な人気を見せている。

草間彌生に村上隆、高級ブランド、ルイ・ヴィトンとコラボレーションを行う作家の多くに名を連ねているアーティストに日本人が多いこともまた日本人作家の目まぐるしいブレイク、アートバブルを象徴していると言える。

しかし、我々日本人はそれらの素晴らしきアーティストが世界で活躍していることについてはニュースで稀に見る程度でさほど認知されていない。

それでは、日本における現代アートの歴史も簡単に振り返りながら、現在どのような日本人アーティストが活躍しているか紹介していこう。

今日の日本のアートシーンを作り出した有名作家たち

まず、日本の現代アートに影響を与えた運動として大正時代に『柳 宗悦(やなぎ むねよし)』を筆頭に始まった「民藝運動」があり、後に最初に有名になった作家は1970年に大阪万国博覧会で太陽の塔を作り、ピカソを超えようと情熱的に創作活動に勤しんだ『岡本太郎』だ。

次に千円札裁判で物議を醸した『赤瀬川原平』、そして、日付を描いたペインティングで有名な『河原温』もまた興味深い活動を行った有名作家である。

また、ジョン・レノンのインスピレーションとなった『オノ・ヨーコ』、現在では作品に億の値段がつけられる『草間彌生』など女性作家の活躍も目覚ましい。

戦後に日本独自の芸術運動である「もの派」を牽引した『李禹煥(リ・ウーファン)』も草間彌生と並び、オークションで高額落札されるアーティストとして王道の地位を確率し、現代美術に於いては巨匠の地位で圧巻の作品数と経歴を誇っている。

日本の現代アートシーンに於いて特筆すべき作家たち

現代美術の流れの中で、蟻の巣により国旗が崩れる作品で世界的に有名となった『柳幸典(やなぎ ゆきのり)』、大盤カメラを使ったドラマティックなモノクロ写真で有名な『杉本博司』、オタクカルチャーやアニメーションの世界を美術のコンテクストに乗せた『村上隆』、物凄い画力を武器に社会問題を提起し、物議を醸し出した作品で有名な『会田誠』、数字が電光掲示板となっている作品が有名な『宮島達夫』、ファーストフード企業のロゴをモチーフとした彫刻で有名な『中村政人』、巨大な野外彫刻などで有名な『名和晃平』や『花尾』、そして、さまざまな作品で物議を醸し出し有名になったパブリックアート集団『Chim↑Pom(チン↑ポム)』や音楽家としても有名なインスタレーションアーティストの『池田亮二』、映像インスタレーション作家の『束芋(たばいも)』、糸を用いたインスタレーションで有名な『塩田千春』など世界的に活躍している有名日本人作家は現在も多数存在している。

現在人気の日本人女性作家とは?

現在人気の日本人女性作家は恐らく、御年93歳の草間彌生のモノポリー(独占・一人勝ち)状態であると言っても過言ではないほどの人気である。

世界のミュージアムショップの多くは草間グッズで溢れ、彼女の作り出すカボチャや水玉の作品はシグニチャーとも言える有名なものとなった。

そして、作品だけでなく、その風貌や目力を含めた彼女自身の芸術家魂もまた、岡本太郎の様に強烈な光を放っており、芸術家本人も作品と切り離されることはなく有名である。

彼女は芸術家でありながら、統合失調症患者でもあり、病院からアトリエ通いをした事でも有名なのだ。

ジョン・レノンが亡くなり、独身を貫いてきたオノ・ヨーコ同様に草間彌生もまた独身を貫いて生きてきた一人であり、女性が現代美術で歴史に名を残すことは決してたやすい事ではない中で草間の活躍は目を見張るものがある。

恐らく、この閉塞感に満ちた現代社会で多くの同じ様に病んだ人々によって感情移入しやすく、共感を得ているのだろう。また投資材料としての今後も上がっていく価値も見込まれている。

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現在人気の日本人男性作家とは?

男性で現在、国内外的に圧倒的な人気を誇っているアーティストは村上隆であろう。

取扱いの画商が東京芸術大学を卒業していることもあり、ビジネスマンとしての商才が優れていたため、売り出し方が上手く、自身の取扱い作家等を海外に向けてプロモーションをし、若い芸術家志望の作家をアシスタントとして雇うことで緻密な絵画の生産をモノにし、更には日本のアニメーションやオタクカルチャーのブームの海外需要と画商による商戦が巧みに功を奏した結果としてスターダムへとのし上がった成功例と言える作家であろう。

また作家本人および取り扱い画商の人当たりの良さもまた作品を有名にした要因の一つであると言っても過言ではなく、芸術をビジネスとして成功させた最も分かりやすい例の1つであるが、一方で本人だけの手によって作られた作品ではないことや草間彌生やオノヨーコ的なドラマティックな人生を歩んでいるわけでもないので今後もの凄い価格変動が見込めるかと言えば若干の怪しさは否めない。

現代の若手人気日本画家とは?

日本画には長い歴史があるが、現代の若手人気日本画家は誰であろうか?

今は中堅層となった村上隆界隈の作家は大学で日本画を専攻してはいるものの、アニメーションという括りから行くとポップアートに近いと思われる。

その中で日本絵画の古典技法を現代に落とし込み、オリジナルな解釈で人気を博している『出口雄樹』、屏風に描かれる様な日本絵画を抽象表現主義に落とし込むことで現代的に仕上げている『大庭孝文』、伝統的なモチーフをポップに独自なセンスで蘇らせる『古家野雄紀』、可愛い動物モチーフを圧倒的画力で再現する『森下麻子』、日本画に宿る侘び寂びが観る人の心を打つ『長野聖司』、また西洋絵画と浮世絵の技法を混ぜた独自の表現をしている『ティモスィー・ベッチャマン』なども近年人気の未来が期待できる若手の人気日本画家で、壁に飾ることで普通の一般家庭の雰囲気もお洒落または癒される雰囲気に変わるだろう。

人気の若手インスタレーションアーティストは?

現代のミレニアル世代のアーティストの作品は非常に作風の幅が広い。

錆和紙を使い作品を作っている『伊藤咲穂』、また音、映像、パフォーマンス、彫刻などを独特な目線で確固たる世界観へと移行している『ナイル・ケティング』、自らのアイデンティティーやルーツを掘り下げて美しく昇華させている『久保ガエタン』、サイトスペシフィックかつポップな風合いのインスタレーションアーティスト『志村信裕』、世界を独特な視点から見て、分析し、社会的コンテクストの中から表現し、インスタレーションと彫刻や写真、映像との境目をも曖昧にしているアーティストユニットの『キュンチョメ』などの若手人気アーティスト達は多様性に満ちた現代に見合う問題の数々を自らの存在とアーティストの役割を通じて提示し続けている。

今後、草間彌生の年齢になった時の彼らがどのように成長を遂げていくかが非常に楽しみな作家である。

まとめ

今回は日本における現代美術の系譜を大まかに駆け足で振り返りつつ、有名な日本人現代アート作家をご紹介した。

かつては単なる西洋の模倣やアニメーター・イラストレーター崩れ的な2次元~3次元の枠を出ない作家、或いはフェミニストの極みとも言える内容のアーティストが1つのことに対して情熱を注ぐことがアートのように捉えられていたが、昨今の若手現代美術作家による作品は多様性に満ちていてより優しい穏やかな空気を包括した作品が多く、地位、権力、国籍やジェンダーを超えたもっと大きな意味合いでの美術をZ世代の先を見据えた上で提示し、問題提起している。

今は4次元の枠を超え、現代社会の進化発展やSDGsと共に作品が5次元への移行を急速に進めている。

これを機に現代美術に目を向けてみてはいかがであろうか。鑑賞して楽しく、また購入して本物に触れてこそ楽しみなのが現代美術の醍醐味である。

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