ホーム コラム 現代アートの読み物 現代アート作家 草間彌生作品とその値段や相場、落札価格、買取価格
草間彌生作品の展示
草間彌生作品が展示されているジャカルタのマカン美術館

草間彌生作品とその値段の変化や最高額

草間彌生(くさま やよい)作品は2005年には世界240位で600~700万円前後であったのに対し、現在では1点に億以上の高値で落札される世界的なアーティストへと変貌を遂げた。その価格は反復を繰り返しながら高騰している。

草間彌生は1929年に長野県松本市で生まれ、幼い頃から幻覚や幻聴に悩み、そこから逃れる術として芸術活動を行い昇華させた。

1945年には16歳にして大戦下に疎開した画家が始めた「第一回全信州美術展覧会」で初入選。1957年に渡米し、数々の著名アーティストからの賞賛を浴びる。

1973年にパートナーの死により帰国し、体調不良により入院。1993年にヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として参加し、世界から再評価される。

2009年には正方形の絵画群「我が永遠の魂」シリーズを制作し始め、2012年にはルイ・ヴィトンとの共同コレクションを発表。

2002年紺綬褒章受賞、2016年、女性四人目の文化勲章受賞の他多数の賞を受賞し、展覧会を開催する度に名実と共にその価格は高騰し、2021年の韓国のオークションでは草間作品が5億2700万円で落札され、昨年の最高額を記録した。

「私は宇宙初の天才で星や太陽といつも一緒に住んでいます」との草間氏の言葉の通り、今後もNFTなどを通じて多方面から作品を発表し、作品価格は生き物のように変動を続けるのであろう。

草間彌生作品の原画の相場

草間彌生作品の原画はオークションで楽に1億を超える。

翠波画廊(すいは画廊)というサイトでは原画は全てSOLD OUTになり、新たに追加されたかぼちゃのシルクスクリーンも商談中になっているなど人気は高い。

翠波画廊での草間彌生 絵画販売
草間彌生(弥生)|絵画販売―東京・銀座、京橋の翠波画廊」より

そして、草間彌生作品は歴史的に有名な女性写真家のシンディー・シャーマンを抑えて世界一の価格である。

ヤフーオークションによると草間彌生の原画は30万円で即決できるが、中国では現代アート作品の偽物も出回っている様子なので一概に真実の情報かどうかは怪しまれる。

サザビーズなどの海外オークションサイトやNYの画商のによると草間彌生作品の原画の価格相場は700万円程度となっており、完売している。

資産価値として見た時は本物を見極める目と即決する決断力が必要である。

草間彌生作品のかぼちゃのオブジェと値段

草間彌生のかぼちゃのオブジェは80年代後半に1000万円で取引され、2000年代には5000万円~1億円となり、2015年に香港のサザビーズで開催されたオークションでは約8億円の値段で落札され、2015年のクリスティーズのサイトでは米ドル落札見込み価格5000~8000万円と見込まれていたかぼちゃのオブジェが9000万円で落札されている。

また、2021年には直島の屋外に設置されていたかぼちゃのオブジェが海に流され3つに割れた。

しかし、2022年開催の『瀬戸内国際芸術祭2022』では赤かぼちゃの作品が新たに設置され、直島の玄関口でお出迎えしている。

瀬戸内国際芸術祭2022 草間彌生『赤かぼちゃ』
『瀬戸内国際芸術祭2022』赤かぼちゃ」より

直島限定のかぼちゃのオブジェはヤフーオークションで55,000円、海外オークションでは即決価格75,000円で販売されている。またMoMA公式オンラインストアで販売されているかぼちゃのオブジェも35,000円で取引されており、今後もその価格の動向を注目していきたい。

草間彌生作品とオークション落札価格の変化

現代アートの女王・草間彌生。

2005年にはオークション市場で43点の合計落札額約3億円でランクは世界240位であった作品が、2015年になると464点のその合計落札額は70億円で世界42位

さらに2021年5月には草間彌生が友人の医師に贈った11点の最初期作品が17億円と事前の予想落札価格の2倍で落札された。

また2021年7月には中国のNFTマーケットプレイスで「無限の綱」と関連資料のNFTアート2点が約18億円で落札

2021年の香港のオークションではかぼちゃの彫刻が約8億円、またかぼちゃの絵画が9億円で落札されている。

2022年2月のソウルでのオークションでは『無限のうちに消滅するミロのビーナス』の絵画と彫刻の組作品が約4億2000万円で落札され、1981年のかぼちゃをモチーフとした作品が4.2億円で落札された。

草間は「飢えや犯罪が戦争につながるように、セックスの抑圧も、人間の本当の姿を押し曲げ、人間を戦争に駆り立てる遠因になっている」と資本主義を批判しているが、アートを買うことは平和への貢献なのかもしれない。

草間彌生の「富士山」版画の値段

草間彌生は2015年『わたしの富士山』と題し、世界で唯一、浮世絵木版画技術を継承するアダチ版画研究所の彫師、摺師と共に現代アートと江戸時代から続く巧妙な職人技術を融合させた。

アダチ版画 現代の浮世絵 草間彌生『七色の富士』
七色の富士 | 草間彌生 | アダチ版画 現代の浮世絵」より

14,685個ものドットが富士山を取り囲む。

作品は7色でそれぞれに

  • 『生命は限りもなく、宇宙に燃え上がって行く時』
  • 『宇宙や人類の生命のありか』
  • 『命の限り愛してきた私の富士山の全て』
  • 『優しさに溢れた万物は私の心を打った』
  • 『富士山、わたし大好き』
  • 『永遠に輝く我が命、この人間愛は何億光年も滅びる事はない』
  • 『われわれの魂の沈んでいった果てに、この黒々とした山はすべてを愛につつんでしまう』

というタイトルが付けられている。

絵のみで80万円(税別)、額付きで84万円(税別)で販売されたが1人1商品限りの購入で完売した。

海外のアートギャラリーで販売されているが価格は現在の値段は不明である。今後高騰が予想されるため、購入出来た方は幸運だ。

草間彌生作品の版画の買取価格

60年代から頭角を表し、『前衛の女王』として人々に人気を博した草間彌生。

1993年のヴェネチアビエンナーレに参加し、2016年には文化勲章受賞となり、作品の販売価格の動向が注目される世界で最も高額でオークション落札される女性作家の一人である。

直筆作品は大量に流通せず、希少価値があるので高額買取に繋がりやすいと言われている。

また、草間のシグネチャーとも言える「水玉」や「かぼちゃ」のシリーズの作品だ。人気が高いので作品は高額買取に繋がりやすいが変動が激しい。

その理由として海外で人気が高く、世界的なオークション落札価格が国内での評価へと反映されやすい点だ。言い方を買えれば「時価」であり、株価のように変動している。

売り時を見極めるのはコレクターの手腕にかかっていると言えよう。

まとめ

2022年開催の『瀬戸内国際芸術祭2022』では直島の港に赤かぼちゃの作品が展示され、草間彌生美術館では『心の中の詩』展が3月3日から8月28日まで開催しており、またGYRE GALLERYでは5月13日から7月3日まで『世界の終わりと環境世界』展を開催予定である。

草間はこう語る。

「私の芸術とは、人間を愛すること、芸術を愛すること、すべてのものに対する愛の結晶と、死への道程の間に、あったのです」

アートの市場は常に変動する。その中でも価格が高騰している草間彌生作品は今後も世界的に注目されていくであろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です