この世には価格が高い高級ワインと安いワインが存在します。
近年ではテレビで二者を飲み比べ一流を当てて競うような番組もみられます。中には高級ワインを飲み慣れていても外してしまう方もいますし、逆に飲んだことがないからこそ無垢な状態で味わいを表現できる方もいますが、マスター・ソムリエと言われる人材はコンテスト等で高価なワインを飲み当て、プロとして適切な味わいのワインを料理に合わせて日々提供しているわけです。
本記事では、高額な高級ワインと低価格の安いワインの見た目、香り、味わいがどのように違うか、について解説します。
ボルドー産高級ワインとそのブランド力
まず、高いワインについて語る時、フランスは外せない国です。なぜなら、高いワインの上位はほぼフランス産と言っても過言ではないからです。
1946〜1951年にはフィロキセラによる壊滅的な葡萄の樹木への被害により、産地偽装が横行し、偽物ワインが大量に出回ったことからフランス政府が産地呼称制度(AOC)を作り、政府がワイン法を定めてシャトーの格付けがなされました。
そのトップに君臨するボルドーワインの最高峰となる5つのシャトーは、ボルドー五大シャトーと呼ばれブランドとして確立されています。
その高いブランド力があるこそ需要が高く、高級ワインとして取引されるのです。
なお、五大シャトーは以下の5つを指します。
- シャトー・ラトゥール
- シャトー・ラフィット・ローシルト
- シャトー・ムートン・ローシルト
- シャトー・マルゴー
- シャトー・オー・ブリオン
高級赤ワインの王様「ロマネ・コンティ」になぜ高値がつくのか
フランスはワイン王国として長年の歴史を誇っています。
中でもロマネ・コンティの相場はオフ・ヴィンテージ(葡萄が完熟しなかった年)でも相場は100万円以上、グレート・ビンテージ(葡萄の当たり年)であれば200万円を超える非常に価格が高いワインです。70年代には5万円だったものが現在は40倍もの価格となりました。
ロマネ・コンティは古代ローマ時代に遡る長い歴史があり、元々は修道院がその葡萄畑を所有していました。
1.8ヘクタールの小さなピノ・ノワールを栽培する葡萄畑から手積みで収穫し、ビオディナミ(有機農法)で栽培され醸造、出荷される本数は年間僅か6000本のみ。
更に戦禍をくぐり抜けた1945年のロマネ・コンティは生産量608本の希少性から、ロマネ・コンティの頂点として10億円を超える高値が付きました。
米国が人類初のアポロ11号を月面着陸成功させ、日本の宇宙開発事業団(NASDA)発足の1969年や第11回先進国首脳会議が開催され、日本がバブル景気へと向かった1985年も当たり年として知られていますが、高いワインには希少性が高いことから、高値で取引されるようになるのです。
ロマネ・コンティの味わい
ロマネ・コンティはよく「妖艶な味わい」であると言われ、全ての要素が完璧なバランスで保たれていることから、その味わいは「完全な球体」と表現されます。
華やかなアロマとピノ・ノワールを全て凝縮したような風格に、スミレや薔薇のようなフローラルさやベリー系のフルーティーな味わいと土やキノコ、紅茶のようなミネラル分とタンニンの渋みを感じる味わいは余韻が長く続きます。
高級白ワイン「モンラッシェ」とその味わい
また、ロマネ・コンティを製造するDRC社のモンラッシェという白ワインも風味が高いことで有名な高級ワインです。
「シャトー・オー・ブリオン・ブラン」はボルドーのグラーヴ地区で1855年のメドックの格付けで例外として第1級に選出されています。甘美で柔らかな甘みが味わえる辛口白ワインとして唯一無二の存在を誇っています。
高級ワインの味わい
高級ワインを味わう時に、赤ワインならば、
- 黒すぐり
- 木苺
- スミレ
- チェリー
- カシス
- ピーマン
- 血
- ジビエ
- 黒胡椒
- ナツメグ
- ダークチョコレート
- コーヒー豆
- タバコ
などに例えられることが出来るくらいに複雑で、インスピレーションの湧く香味や味わいをもたらせてくれます。
白ワインならば、
- ジャスミン
- アカシア
- ライチ
- レモン
- ライム
- グレープフルーツ
- マルメロ
- 洋梨
- 桃
- りんご
- バニラ
- トースト
- 火打ち石
など夢の様な味わいの世界に誘ってくれます。
安いワインの味わい
安いワインを味わうと赤ワインならば、
- イチゴ
- チェリー
- カシス
白ワインならば、
- 洋梨
- レモン
- バニラ
のようにその歴史の浅さや作りも含めてどうしても、高級ワインにある奥行きというものがないので官能表現に困り、高級ワインと比べどうしても風味を楽しめず、飲む人によっては悪酔いしてしまうこともあり、本来の味を楽しめなくなってしまうのが難点です。
両者を比較してしまうと高いワインが美味しいことは避けられません。
高級ワインと安いワインのボトルや見た目の違い
高級ワインのボトル
高いワインはエチケット(ラベル)が古く、年代物であれば歴史を物語ります。
まずそのフォントやデザインに味があり、歴史的美術品やブランド品としても価値があるのでコレクターもいるほど。
希少性のあるワインのラベルは、数を製作していないシリアルナンバー入りの美術品のようなもので、高価なものほど多くの人の所有欲に火をつけます。
また、高いワインボトルを置くことでレストランやワインバーのステイタスが上がることもあるので、空のボトルですらオークションで競り落とす人がいるほどです。
安いワインのボトル
安いワインが高級ワインと異なる点としてエチケット(ラベル)の新しさが特徴です。
ラベルが新しく、量産されているのでいくらでも入手でき、希少性に欠けるため別にわざわざ高い代金を支払って購入する人がいないのです。
最近の商業デザイナーがコンピューターで描いた絵よりも葛飾北斎の原画が高いこととも同様で、新しいものは斬新な反面、圧倒的な深みがないのかもしれません。
高級ワインのコルクと香り
高級ワインは古いものであれば、開栓にも注意が必要です。コルクが折れたり、ボロボロになってワインに混じってしまう可能性もあるからです。
なので一流のソムリエに開栓していただく必要があります。
また、高級なワインには大概、澱(おり)が沈んでおり、澱にはポリフェノールやタンニンがたくさん含まれています。
多い場合や香りを開かせるためにもデキャンタージュが必要になり、空気に触れることで別格な薫りを体現でき、そこから様々な情景が思い浮かぶなど人間味や土臭さに溢れていることも高級ワインの見た目の特徴です。
安いワインのコルクと香り
一方、安いワインは開栓中にコルクが折れることはあっても簡単に折れたり、ボロボロになることは少ないです。
また、安いワインは一流のソムリエがいるようなお店には置いておらず、日常的に購入して安値で飲めますが、見た目も澱を含まないので、例えデキャンタージュしてもさほど香りの変化はありません。
近年はステンレスの樽に貯蔵されているワイナリーもあり、機械らしさから人間味や自然を感じられないことも安いワインの特徴です。
高級ワインの色と見た目
高級ワインをグラスに注ぐと赤ワインであれば不透明な色をしていたり、品種によってブラウンやオレンジ色に変化します。
白ワインであれば、黄金色をしていることが多いものです。
そして、ワインにあった高価なグラスを使い、ワイングラスをスワリング(回す)した際、熟成によるグラスの壁面に滴る脚(涙)が長く美しく、それを眺めて楽しめることも高級ワインを堪能できる醍醐味でしょう。
安いワインの色と見た目
安いワインの場合は、注いだ時に単なるワインレッドや薄レモンのような色味がかった透明の色をしている事が多いので、色味に「血のよう」「レンガのよう」というような例える程のバリエーションや深みがありません。
使うグラスも同格なものとなるので、残念ながらワインの持つ美術品的な美しさからはかけ離れてしまうのです。
まとめ
高級ワインと安いワインの違いについて解説いたしましたが、その味は雲泥の差であり、別格です。
味については文字でお伝えするのがなかなかに難しいので、ぜひとも実際に高級ワインを味わっていただき、その違いを目と鼻と舌で堪能していただけましたら幸いです。
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