ホーム コラム ワインの読み物 ワインの銘柄 アルタ・エゴ・ド・パルメ(Alter Ego de Palmer)

アルタ・エゴ・ド・パルメ(Alter Ego de Palmer)は、ボルドー・マルゴー村のトップクラスシャトー「シャトー・パルメ」によって作られるセカンドワインです。1997年までは「ラ・リザーブ・デュ・ジェネラル」として知られていました。

そんなワイン評論家からも高く評価されるシャトー・パルメのセカンドワイン「アルタ・エゴ・ド・パルメ」についてご紹介いたします。

ちなみに、フランス語の読み方では「アルタ・エゴ・ド・パルメ」、ラテン語では「アルテ・レゴ・ド・パルメ」と、呼び方が人によっても異なりますが、どちらも同じワインを指します。本記事では「アルタ・エゴ・ド・パルメ」に統一して解説いたします。

アルタ・エゴ・ド・パルメの生産を手掛けた「シャトー・パルメ」について

出典:フェリシティ

「シャトー・パルメ」はフランス・ボルドー地区、マルゴー村の生産者です。シャトー・パルメは1855年のメドックの格付けでは第3級を獲得しましたが、第1級に格付けされているシャトー・マルゴーに匹敵すると評価されています。

第1級シャトーと引けを取らない高品質ワインという意味で、「スーパーセカンド」と呼ばれた最初のワインでもあります。多くの人がシャトー・パルメの誕生は、チャールズ・パーマー大佐がブドウ畑を購入した時と考えています。

しかし歴史はもっと古く、かつてはシャトー・ド・ガスクという名前でワインが作られていました。当時の所有者はマダム・ド・ガスクとして知られる、マリー・ブランテ・ド・フェリエール。

彼女はチャールズ・パーマー大佐に「シャトー・ド・ガスクのワインは、シャトー・ラフィットのワインと同じくらい美味しい」と売却を持ち掛け、見事成功。

1800年代初頭、チャールズ・パーマー大佐がこのシャトーを購入し、自分の名前にちなんで「シャトー・パルメ」に改名したのです。その後、チャールズ・パーマー大佐は次々とブドウ畑を買い占め、80ヘクタールから3倍に拡大、最高のテロワールを持つブドウ畑を手に入れます。

しかし、シャトーの経営は次第に行き詰まりを見せ始めます。

1843年、シャトー・パルメは銀行や鉄道事業で名高いペレール家に売却。ペレール家はシャトー・パルメの改善と近代化に多額の資金を投資し、95年が経った1938年、ペレール家はシャトー・パルメを共同所有者のジネステ家、ミアイユ家、マーラー・ベッセ家、シシェル家に売却しました。

今日のシャトー・パルメは、上記ファミリーの中の2つマーラー・ベッセ家とシシェル家が共同所有で運営しています。

話はさかのぼり、1950年代にシャトー・パルメの当時過半数株主であったフレデリック・マーラーの義理の息子であるジャン・ブーティエが、長らくシャトー・パルメを管理していました。

そして、ジャン・ブーティエが40年以上に渡って責任者を務めた後、2004年に後任に就任したのがボルドー出身である現最高責任者(醸造責任者)のトーマス・デュルーなのです。

2004年最高責任者(醸造責任者)にトーマス・デュルーが就任

出典:STAR WINE LIST

2004年に最高責任者にボルドー出身のトーマス・デュルーが就任。これ以降シャトー・パルメは黄金時代に入ったと言われています。以前はイタリア、スーパータスカンで有名な「オルネッライア」で醸造責任者を務めた経験を持ちます。

シャトー・パルメはボルドーにおけるバイオダイナミクス農法の先駆者として知られていますが、実はバイオダイナミクス農法を取り入れたのはトーマス・デュルーだったのです。また、今回ご紹介のセカンドワイン「アルタ・エゴ・ド・パルメ」の地位を高めたことでも有名です。

格付けシャトーのコンサルタントを「エリック・ボワスノ」が務める

出典:VINIV Bordeaux

22歳でボルドーの醸造学部を卒業。その後、メドックの土壌がブドウとワインの品質に与える影響を5年間研究し、1997年に醸造学の博士号を取得。父のジャック・ボワスノによって設立されたボワスノ研究所でワインのコンサルタント・醸造学者として学びました。

現在、ボルドーの名だたる格付けシャトーのコンサルタントを務めています。シャトー・パルメの他に、シャトー・ラフィット、シャトー・マルゴー、シャトー・ムートン・ロッチルド、シャトー・ラトゥールなど200以上の生産者と契約しており、父とともに伝説のコンサルタントとして知られる人物です。

2008年にブドウ栽培にバイオダイナミクス農法を導入

出典:Chateau Palmer

シャトー・パルメは、2008年からブドウ栽培にバイオダイナミクス農法を導入していますが、一方で海洋性気候のボルドーでは、雨や湿度の高さで発生するカビにより生産量が減少する可能性があるため、農薬を使わないバイオダイナミクス農法を導入するのはリスクが高いと考える生産者もいます。

1995年からブドウ栽培は減農薬栽培として行われていましたが、トーマス・デュルーの就任を機にバイオダイナミクス農法への移行が始まりました。

バイオダイナミクス農法への移行は、2008年にわずか1ヘクタール(東京ドーム約5分の1)のブドウ畑で実験的に始まります。2011年にプログラムを強化し、2014年に100%バイオダイナミクス農法へ移行、2017年に100%バイオダイナミクス農法であると認定されました。

今日、バイオダイナミクス農法の影響によりシャトー・パルメのブドウ畑では動物、植物、昆虫など多様な生物が発見できます。また、土壌の水分を減らすために、ブドウ畑の中心に果樹を植えるなどの工夫も見られます。

シャトー・パルメが作るもう1つのワインとして人気を得ているのが、今回のテーマである「アルタ・エゴ・ド・パルメ」です。アルタ・エゴ・ド・パルメは、シャトー・パルメとは違う区画のブドウを使っているため、メルローの比率が高く、柔らかくしなやかな味わいがあり、若いうちから楽しめるのが特徴的です。

出典:Sachi Wines

シャトー・パルメとアルタ・エゴ・ド・パルメの両ワインのラベルに描かれている豪華な城(上記画像)は1856年までに13年の歳月をかけて建造されました(ペレール家所有時代)。完成はメドック格付けの1年前のことでした。もし、1855年の格付けまでに完成が間に合っていれば、2級を獲得したかもしれないとワイン愛好家の間では囁かれています。

シャトー・パルメは、他にも辛口の白ワインも作っており、50%のミュスカデル、35%のロセット、15%のソーヴィニヨン・グリのブレンドで、年間わずか100ケースのみの生産です。

また、もう一つ知っておくべきワインがあります。それは、ワイン愛好家の間で「シャトー・パルメの幻のワイン」と言われている「ヒストリカル・ナインティーンス・センチュリー」です。

メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンにローヌ地方のシラーをブレンドしているため、マルゴーやボルドーなどといった産地名が名乗れない、ヴァン・ド・フランス(フランス産)としてリリースされるユニークで希少なワインです。

世界の中でも限られた場所にしか出荷されない幻のワインと呼ばれているため、もし機会があれば一度はお試しいただくことをお勧めします。

アルタ・エゴ・ド・パルメの特徴

アルタ・エゴ・ド・パルメ(アルテ・レゴ・ド・パルメ)

アルタ・エゴ・ド・パルメのコンセプトは「もう1つのシャトー・パルメ」。

シャトー・パルメは、1997年まではセカンドラベルとして「ラ・リザーブ・デュ・ジェネラル」を生産していました。これに代わり1998年に誕生したのが「アルタ・エゴ・ド・パルメ」です。

セカンドラベルとは、シャトー(生産者)のファーストラベル(看板ワイン)の水準に達していないワインをブレンドして別ラベルでリリースするもの。一般的には、樹齢が若い区画のブドウや条件的に劣る区画のブドウなどが用いられます。

アルタ・エゴ(Alter Ego)は、フランス語で「もう1つの私」「分身」という意味があり、単なるセカンドワインではなく、「もう1つのシャトー・パルメ」との思いが込められています。シャトー・パルメとは異なる畑のブドウから作られるため、生産者自身はセカンドワインとは見なしていないのです。

評論家やワイン愛好家からの評価が高いアルタ・エゴ・ド・パルメは、シャトー・パルメの1/3ほどの価格で購入することができます。また、シャトー・パルメは熟成してこそ本領を発揮すると言われるのに対し、アルタ・エゴ・ド・パルメは、早く飲み頃に達するようにブレンドしているため、若いうちから楽しめるのも魅力です。

アルタ・エゴ・ド・パルメの生産地マルゴーについて

出典:Chateau Palmer

アルタ・エゴ・ド・パルメの生産地であるマルゴーは、フランス南西部、ボルドー市の北、ジロンド川左岸のメドック地区に位置しています。村名A.O.C.の中で最も南の村です。また、マルゴーはマルゴー村の他、スッサン、カントナック、ラバルド、アルサックの計5つの村で構成される、オー・メドック最大の村名A.O.C.です。

赤ワインの銘醸地で、1855年のメドックの格付けで第1級に格付けされたシャトー・マルゴー(Château Margaux)をはじめ、第2級の5シャトー、第3級の10シャトー、第4級の3シャトー、第5級の2シャトーと、評価の高いシャトー(生産者)が点在しています。

ガロンヌ川が運んだ砂礫質や粘土石灰質の土壌があり、水捌けがよく、ブドウ樹が根を深く下ろしています。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの調和の取れたワインが多く、「メドックで最も女性的」「エレガント」などと表現されるのも特徴です。

シャトー・パルメのブドウ畑には18種類の砂利、粘土、砂の土壌が確認されています。

ほとんどのシャトーは、粘土質の土壌にメルローを植えますが、シャトー・パルメでは、表土(土壌の最上層部)が砂利になっており、その下に粘土が広がる土壌に植えられています。この独特の土壌がシャトー・パルメのワインに優雅さをもたらしています。

アルタ・エゴ・ド・パルメのブドウ品種

出典:Chateau Palmer

アルタ・エゴ・ド・パルメでは3種類のブドウが使われており、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが同じくらいの割合、補助としてプティ・ヴェルドがほんの少しブレンドされています。

それぞれの品種の特徴は以下のとおりです。

■カベルネ・ソーヴィニヨン
ボルドー全般、特にメドックで広く栽培されているブドウです。果皮が厚く、色素と風味、タンニンを多く含み、ワインに骨格をもたらします。

■メルロー
カベルネ・ソーヴィニヨンより成熟の早いブドウで、最も早く収穫されます。シャトー・パルメのトレードマークであるベルベットのような質感とボディをワインにもたらします。

■プティ・ヴェルド
ブレンドの最後の仕上げとして、ワインにタンニン、色調、エキゾチックなスパイス香を与えます。

アルタ・エゴ・ド・パルメの醸造

出典:Chateau Palmer

アルタ・エゴ・ド・パルメの醸造は、シャトー・パルメと同じチームが同じ場所と設備で行っています。発酵は54種類の温度制御されたステンレスタンクで区画ごとに行われます。タンクのサイズは、89~194ヘクトリットル(1ヘクトリットル=100リットル)と様々です。

アルタ・エゴ・ド・パルメは、熟成期間中に新しいオーク樽をあまり使用しません。シャトー・パルメは平均50%から70%を新しいフレンチオーク樽で熟成しますが、アルタ・エゴ・ド・パルメは平均25%から40%で16〜18ヶ月間熟成されています。

酸化防止剤は、2015年のヴィンテージから全ての段階で可能な限り使用されません。また、2009年からはプルーフタグシステム(ワインが本物か偽物かを確認できるシステム)を使用し、顧客にワインの信憑性を保証しています。

アルタ・エゴ・ド・パルメの公式サイトにアクセスし、ボトルに貼られている識別コードを入力、またはスマートフォンにアプリをダウンロードしてQRコードをスキャンすることで本物かどうかを確認できます。

アルタ・エゴ・ド・パルメの評価

近年のアルタ・エゴ・ド・パルメ(Alter Ego de Palmer)の評価をご紹介します。

■略称
WS:ワイン・スペクテーター
WA:ワイン・アドヴォケイト
WE:ワイン・エンスージアスト
JS:ジェームズ・サックリング
D:デキャンタ
V:ヴィノス

年代WSWAWEJSDV
202193959394
202093
2019919694
20179292929493
20169393909793
201592949791
20149392939390
201290939294
201192909391
201092909392
20099093
20089090
20078989
20069187
2005929092
20009289

アルタ・エゴ・ド・パルメのテイスティングノート

アルタ・エゴ・ド・パルメは、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルドの3種類の黒ブドウのブレンドで作られる辛口の赤ワインです。多くの年でメルローの比率が高く、なめらかな質感とふくよかさが特徴です。

アルタ・エゴ・ド・パルメの香りは、ラズベリー、ブラックチェリー、カシスなどの果実、甘草、丁子などの甘いスパイスにスミレやバラ、チョコレート、コーヒーのニュアンスがあります。

味わいは果実味が豊かで、しなやかな酸、タンニンは滑らかで余韻が長いです。若いうちはフレッシュな果実味を楽しむことができ、熟成により深みのある複雑な味わいに発展します。

脂質の少ない赤身肉(鹿など)、ローストビーフ、タレがたっぷりのウナギの蒲焼、なめらかな食感のカマンベールチーズなどとのペアリングがおすすめです。

グラスは大ぶりのボルドー型で、温度は16~18℃のやや高めをおすすめします。若いヴィンテージから楽しめるワインですが、香りが閉じ気味だったり、固さを感じる場合はデキャンタージュにより空気接触をしてもいいでしょう。

アルタ・エゴ・ド・パルメを飲む際のおすすめのシチュエーションは、記念日、特別な食事会やパーティなど、黒と金の豪華なラベルは特別な日に華を添えてくれるでしょう。

一般的にアルタ・エゴ・ド・パルメは「セカンドワイン」として知られているため、「二番手」を連想させることから、ワイン愛好家の方やワインの由来を気にするタイプの方へプレゼントをする場合は注意しましょう。

しかしながら、素晴らしいワインに変わりはありませんので様々なシーンで楽しむことができます。

アルタ・エゴ・ド・パルメの詳細データ

ワイン名アルタ・エゴ・ド・パルメ(アルテ・レゴ・ド・パルメ)
原語Alter Ego de Palmer
タイプ赤ワイン
飲み口辛口
ボディフルボディ
味わい果実味が豊かで、しなやかな酸、タンニンは滑らか。余韻が長い。熟成も期待できますが若いうちから楽しめます。
産地フランス/ボルド―/マルゴー
ブドウ品種カベルネ・ソーヴィニヨン
メルロー
プティ・ヴェルド
熟成期間16~18ヶ月間(新樽比率25~40%)
飲み頃の温度16~18℃
合う料理合う料理 脂質の少ない赤身肉(鹿など)、ローストビーフ、たれがたっぷりのウナギの蒲焼、なめらかな食感のカマンベールチーズなど

アルタ・エゴ・ド・パルメが買えるおすすめ通販サイト4選

ワインは輸送状態や保存状態によりダメージを受けるため信頼のできるお店で購入しましょう。ここではアルタ・エゴ・ド・パルメを安心して購入できるおすすめの通販サイトをご紹介します。

人気のワインのため、新しいヴィンテージはリリースされるとすぐに売り切れる可能性があります。

見つけたらお早めにご購入することをお勧めします。

ENOTECA online

ワイン通販お客様満足度5年連続No.1(※東京商工リサーチ調べ 調査実施期間:令和3年1月)の通販サイト。1万円以上の購入で送料無料になりますので、アルタ・エゴ・ド・パルメは1本の購入で送料無料です。

ENOTECA online

MARU MIYATAYA ONLINE SHOP

1864年創業、八丁堀の老舗酒屋「宮田屋」が運営するワイン通販サイト。新規登録時に500ポイント (500円相当) 贈呈され、20,000円以上で送料が無料になります。

MARU MIYATAYA ONLINE SHOP

フェリシティー

合計11,000円(税込)以上の購入で送料が無料になります。ワインと一緒に楽しめる、チーズや生ハムを合わせて購入するのもおすすめです。

フェリシティー

TERRADA WINE

美術品やワインをはじめとする保管事業で業界を牽引してきた、1950年創業の寺田倉庫が運営するワイン専門サイト。「プリムール」というボルドー地方特有の樽熟成途中のワインを購入できるのも魅力です。

TERRADA WINE

アルタ・エゴ・ド・パルメをご堪能いただけます

RY'Scafebar(アールワイズカフェバー)

当店は、2021年12月31日「札幌で1番お洒落なカフェバー」をコンセプトに札幌円山にオープンいたしました。お昼の時間帯はカフェ、夜の時間はBARを営業し、BARの時間帯ではアルタ・エゴ・ド・パルメはもちろんのこと、数多くの希少価値の高いワインをご用意しております。

また、プロが腕を振るった当店オリジナルのフードメニューは、ワイン一つ一つに合うように作り上げておりますため、ぜひワインと共にお召し上がりいただければ幸いです。

店名RY’S cafe bar(アールワイズカフェバー)
住所北海道札幌市中央区北4条西24-2-16-2F
[地図を見る]
電話番号050-3187-4155
営業時間カフェ:11:00-16:00(L.O.15:30)
BAR :17:00-24:00(L.O.23:30)
定休日無休
駐車場2台
Wi-Fi有り
電源4席
喫煙席全席禁煙
店舗サイトhttps://rys-cafe.bar/
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