カクテルは、ベースとなるお酒にジュースや他のお酒を合わせて作られているアルコールドリンクです。
複数の味を混ぜて作られた奥深い味わいは、幅広い層に好まれています。
しかし、カクテルに使われているお酒のことをあまり知らずに飲んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、カクテルに使われているお酒について深掘っていきます。
アルコールにはさまざまな種類がありますが、今回は「ラム酒」(以下ラム)についてを徹底解説!
歴史や原材料をはじめ、ラムベースのカクテルレシピもたくさん紹介しているので、ぜひ最後までお楽しみくださいね。
それでは早速チェックしていきましょう。
ラムってどんなお酒?
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名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、そもそもラムって一体どんなお酒なのでしょう?
ラムはスピリッツの一種であるアルコールです。
スピリッツとは蒸留酒全般を指すのですが、その中でもラム、ウォッカ、ジン、テキーラは世界4大スピリッツとよばれ、世界中で多くの人に親しまれています。
ラムの名前の由来
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まずは名前の由来について。
「ラム」という名がついた理由には諸説ありますが、その中の3つをご紹介していきましょう。
●バルバドス島原住民が蒸留酒を飲んで騒いでいた際、その様子を見たイギリス人が 「rumbullion 」(デボンシャーの方言で「興奮」)と表現し、その語頭を取った説
●「rumbullion」が由来なのは同じだが、ラテン語セビーリャ方言の「茎」(rheu)と、英語の「地金」(bullion)・もしくはフランス語の「煮るもの」(bouillon)の合成語という説
●ラテン語で「糖類」を意味する(saccharum )の最後のrumからとった説
どの説が正しいのかは、未だ定かではないのだそう。
ラムの製造方法
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ラムの原材料はサトウキビに含まれている「ショ糖」。
原産地は西インド諸島とされています。
ショ糖をアルコール発酵させてエタノールに変えた後、蒸留・熟成して造られています。
複数回蒸留を行って、製造過程でエタノール濃度を80%程度に濃縮。
中性スピリッツになるのを防ぐため最高でも95%未満までにしか濃縮しないのだそう。
その後、割り水されてアルコール度数40%~50%になるよう調整されて出荷されています。
発酵させてできた醸造酒を蒸留して熟成させる工程は同じですが、原料によって2つの製法に分けて造られています。
インダストリアル製法
1つ目はインダストリアル製法です。
サトウキビから砂糖を精製する際に発生する“モラセス”と呼ばれる廃糖蜜を原料として造られます。
世の中に流通しているラムのうち、約97%はこの製法で造られているんだそう。
モラセスを貯蔵しておけば、サトウキビの収穫時期に左右されず通年通して製造可能です。
サトウキビの生産地以外でもモラセスを輸入すればラムの製造ができる点も大きな利点といえるでしょう。
この製法でつくられたラムはインダストリアル・ラムと呼ばれ、別名「工業ラム」とも言われています。
アグリコール製法
2つ目はアグリコール製法。
こちらはサトウキビの搾り汁を直接原料として醸造酒を造っています。
この製法で造られたラムはアグリコール・ラムと呼ばれ、別名は「農業ラム」です。
インダストリアル製法より新しい製法で、世界的にもラムの総生産の約3%しか占めていません。
サトウキビは刈り取った瞬間から加水分解が始まり、バクテリアの発酵や劣化に繋がるため、栽培地の近くでしか製造できない点が原因とされています。
収穫時期以外は醸造酒を製造することができないのも特徴といえるでしょう。
ラムの種類
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ラムにはさまざまな種類があり、色や香り、原料によって分類され、それぞれ呼び名が異なります。
ホワイト・ラム
ホワイト・ラムは活性炭などで濾過しているため無色なのが特徴。
別名シルバー・ラムとも呼ばれています。
ゴールド・ラム
ゴールド・ラムは薄い褐色です。
樽で熟成させて造られていて、着色料を使用する場合もあります。
風味や香りも感じられ、別名アンバー・ラムと呼ばれています。
ダーク・ラム
ダーク・ラムは濃い褐色をしています。
樽で熟成されて造られ、着色料を使用する場合があります。
3種類の中で最も風味や香りが強いのが特徴で、製菓用としても使われているラムです。
ライト・ラム
ライト・ラムは弱い風味と味が特徴のラムで、カクテルのベースとして多く使われている種類です。
蒸留後は、樽熟成のままだとゴールド・ラムになり、活性炭で濾過するとホワイト・ラムになります。
キューバやプエルトリコなどの国で好まれているそうです。
ヘビー・ラム
比較的風味が強く、褐色の見た目が特徴的。
自然発酵させたモラセスを蒸留し、内面を焦がしたオーク樽で熟成して製造されています。
3年以上熟成させることでダーク・ラムになります。
琥珀色にするために着色料を添加して造る場合もあるのだそう。
イギリス連邦加盟国のジャマイカやガイアナなどの国で人気があるラムです。
ミディアム・ラム
ラムの香りと風味は感じられるものの、ヘビー・ラムほど個性的ではないのが特徴。
カラメルなどの色素で着色されている場合もあります。
モラセスを自然発酵させて醸造酒を造ることもできますが、ヘビー・ラムとライト・ラムをそれぞれブレンドする製法もあるのだとか。
フランス系の植民地で発展したため、フランス付近のマルティーニ島やグアドループ島などで好まれています。
スパイスト・ラム
インダストリアル・ラムに、バニラなどの香辛料やフルーツやハーブを漬け込み香り付けを行ったラムをスパイスト・ラムと呼びます。
一般的なラムと比べアルコール度数が低く、30度台の製品もあるのだそう。
別名、フレーバード・ラム(フレーバー・ラム)とも呼ばれています。
ラムを使ったカクテル
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ラムの種類がたくさんあることが分かりましたね。
ここからは、そんなラムをベースに作られたカクテルをご紹介します。
ラム・コーク
・ホワイトラム 30ml
・コーラ 適量
・カットレモン(ライム)
別名「キューバ・リブレ」ともよばれています。
ラムのカクテルといえば真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ラムとコーラがよく合って、甘く飲みやすいカクテルです。
モヒート
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・ホワイトラム 45ml
・カットライム 1/4個
(ライムジュース 15mlでも可)
・砂糖 2tsp.
(シュガーシロップでも可)
・ミントの葉 約12枚
・ソーダ 適量(約45ml)
爽やかなミントの香りとライムの酸味が特徴的なカクテル。
暑い日にさっぱりと飲みたいときにオススメです。
ミントの葉は潰しすぎると苦味やえぐ味になり、風味を損なう可能性があるので注意!
キューバン・スクリュー
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・ホワイトラム 45ml
・オレンジジュース
ラムをオレンジジュースで割ったシンプルなカクテル。
フルーティーでまろやかなので、ジュースのように飲みやすいお酒を探している人にピッタリです。
名前は、ラムの産地「キューバ」と「スクリュードライバー」を合わせてつけられたと言われています。
ダイキリ
・ホワイトラム 45ml
・ライムジュース 15ml
・シュガーシロップ 1tsp.
名前はキューバの鉱山「ダイキリ」から。
キューバの特産物のラムにライムと砂糖を入れて作ったのが始まりなのだとか。
ライムのすっきりとした風味とラムの香りが楽しめるカクテルです。
ピニャ・コラーダ
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・ホワイトラム 30ml
・パイナップルジュース 80ml
・ココナッツミルク 45ml
ココナッツが香るトロピカルなカクテル。
ミルクを使っているので口当たりまりやかで甘くて飲みやすいのが特徴。
カクテルの名はスペイン語で「裏ごししたパイナップル」という意味があるのだとか。
クレオパトラ
・ホワイトラム 20ml
・モカリキュール 20ml
・フレッシュクリーム 20ml
・好みでナツメグ 少々
エジプトの女王の名前がついたこのカクテル。
モカリキュールにラムが混ざることで風味とコクが増し、その上に生クリームを静かに注ぐことで口当たりも◎
見た目も美しいカクテルです。
ホット・バタード・ラム
・ダークラム 45ml
・角砂糖 1個
・熱湯 90ml
・バター(無塩)10g
溶けたバターとラムの香りが見事にマッチしたホットカクテル。
好みで、はちみつやシナモンを追加しても美味しく召し上がれます。
体を内側から温めてくれるので、寒い日にぴったりのカクテルです。
XYZ
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・ホワイトラム 40ml
・コアントロー 10ml
・レモンジュース 10ml
コアントローとレモンの酸味がラムと合わさってスッキリ飲めるカクテル。
英語の最後から取った名前には「これ以上ない究極のカクテル」といった意味や「今夜はこれで終わり」といった締めの1杯の意味があるのだとか。
ほのかな苦味もあるので、お酒を感じたいときにぴったりなカクテルです。
熱湯の代わりにホットミルクを加えると「ホット・バタード・ラム・カウ」になり、ミルキーで甘さを感じるカクテルになります。
マイアミ
・ホワイトラム 40ml
・ホワイトペパーミントリキュール 20ml
・レモンジュース 1tsp.
名前はアメリカのリゾート地、マイアミから。
ミントリキュールとレモンジュースを使用しているので清涼感たっぷりで爽やかなカクテルです。
ミントリキュールをコアントロー(ホワイト・キュラソー)に変えると「マイアミ・ビーチ」というカクテルになります。
ボサ・ノヴァ
・ダークラム 30ml
・ガリアーノ 30ml
・アプリコット・ブランデー 15ml
・パイナップルジュース 適量
パイナップルとアプリコットがマッチしたフルーティーなカクテル。
イタリアのリキュール「ガリアーノ」を使用しているので、トロピカルな甘さの中にアニスやハーブの風味を感じられます。
トム・アンド・ジェリー
・ホワイトラム 30ml
・ブランデー 15ml
・砂糖 2tsp.
・卵 1個
・熱湯 適量
クリスマスドリンクとして親しまれてきたホットカクテルです。
卵を黄身と白身に分けて泡立てて、ラムとブランデーと熱湯を加えて作る珍しいドリンク。
細かい泡が口当たりをまろやかにし、飲みやすくしてくれます。
ミッドナイト・カウボーイ
・バーボン 30ml
・ダークラム 20ml
・生クリーム 10ml
すべての材料と氷を入れてシェイクして作るカクテル。
生クリームが入っているのでまろやかですが、アルコール度数は33%とかなり高め。
お酒が苦手な人は注意が必要なカクテルです。
ミリオネーア
・スロージン 15ml
・アプリコット・ブランデー 15ml
・ホワイトラム 15ml
・ライムジュース 15ml
・グレナデンシロップ 1dash
名前には億万長者の意味があり、高貴で贅沢な味わいが楽しめるカクテルです。
ラムとジンとブランデーが入っていますが、グレナデン・シロップの甘みでとても飲みやすい仕上がりになっています。
カリビアン・ナイト
・ダークラム 30ml
・イエローバナナリキュール 15ml
・パイナップルジュース 15ml
・グレナデン・シロップ 10ml
ビターな風味のダークラムと、バナナリキュールの甘さが混ざり、複雑な味わいを堪能できるカクテル。
パイナップルジュースで爽やかにまとめられたトロピカルなドリンクです。
カットパイナップルやミントの葉を飾れば、さらに豪華な印象になりますよ!
カリビアン・マーメイド
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・ホワイトラム 10ml
・グリーンバナナリキュール 10ml
・ヨーグルトリキュール 20ml
・ブルーキュラソー 10ml
・パイナップルジュース 20ml
カリビアンナイトと同じくラムとバナナリキュールを合わせたカクテル。
ヨーグルトリキュールを加えたことで更に酸味とまろやかさがプラスされました。
程よい甘さと酸味を感じられる、水色の見た目が美しい爽やかなカクテルです。
お好みでカットライムやグリーンオリーブを飾っても、美味しくいただけそう。
まとめ
この記事では、世界4大スピリッツのひとつであるラムの種類や製造方法、ラムをベースとして作られたさまざまなカクテルについてご紹介しました。
特徴的な香りなので、アルコール度数が高いイメージを持つ人も多いかもしれませんが、飲みやすそうなカクテルもあることが分かりましたね。
この記事をきっかけに、ラム・ベースのカクテルを飲んでみたいなと思ってもらえたら嬉しいです。
同じ名前のカクテルでも使用するラムの種類によって味が変わるのが奥深いですよね。
是非、自分好みのラムを見つけてみてくださいね。